国税庁の「法人番号・適格請求書発行事業者Web-API」とは?企業情報・インボイス登録情報を業務システムで活用するメリット

国税庁は法人情報とインボイス登録情報のWeb-APIを提供している
企業の業務システムでは、取引先の会社名、所在地、法人番号、インボイス登録番号など、さまざまな企業情報を扱います。
これらの情報を担当者がExcelや業務システムへ手入力すると、入力ミスや更新漏れが発生する可能性があります。
そこで活用できるのが、国税庁が提供しているWeb-APIです。
国税庁では、主に次の2つの情報をシステムから取得できる仕組みを提供しています。
法人番号システムWeb-APIでは、法人番号や法人名などを条件として、法人の基本情報などを取得できます。国税庁は、法人番号、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地を「基本3情報」として公表しています。
一方、適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIでは、登録番号を指定した情報取得や、指定した期間に更新された適格請求書発行事業者の情報取得などが可能です。
法人番号とは何か
国税庁が公表する「基本3情報」
法人番号は、国税庁から法人番号の指定を受けた法人等に付与される13桁の番号です。
国税庁法人番号公表サイトでは、法人について次の基本3情報を公表しています。
また、法人によっては、名称のフリガナや英語表記、名称・所在地の変更履歴なども公表されています。
この情報をWeb-APIから取得できるため、自社のシステム上で取引先情報を扱う際の基礎データとして利用できます。
適格請求書発行事業者の登録番号とは
「T+13桁」の登録番号
インボイス制度では、適格請求書発行事業者に登録番号が付与されます。
法人番号を有する課税事業者の場合、登録番号は、
を組み合わせたものです。
例えば、法人番号が13桁の数字で管理されている場合、その法人が適格請求書発行事業者として登録されていれば、その登録番号は「T+法人番号」という構成になります。
ただし、すべての法人が自動的に適格請求書発行事業者になるという意味ではありません。
登録番号は、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に通知される番号です。
法人番号Web-APIで何ができるのか
法人番号を指定して法人情報を取得する
法人番号システムWeb-APIでは、法人番号を指定して、その法人の基本3情報などを取得できます。
さらに、条件によっては法人の変更履歴も取得できます。
そのため、例えば自社システムの取引先マスタに法人番号を保存しておけば、法人番号を基準として企業情報を照会する仕組みを構築できます。
法人名から法人情報を取得する
法人番号システムWeb-APIでは、法人名を指定して情報を取得する機能も提供されています。
所在地や法人種別などの条件を追加して、検索対象を絞り込むこともできます。
これは、新しい取引先を登録するときなどに、
「株式会社○○」
といった名称から候補となる法人情報を検索する仕組みに利用できます。
更新情報を取得する
法人番号システムWeb-APIには、期間を指定して更新情報を取得する機能もあります。
国税庁の説明では、指定期間における法人番号の指定、商号・所在地の変更、登記記録の閉鎖等に関する情報を取得できます。
つまり、毎回すべての法人情報を取得するのではなく、更新情報を利用して自社側の取引先マスタを更新するという設計も考えられます。
適格請求書発行事業者Web-APIで何ができるのか
登録番号を指定して情報を取得する
適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIでは、指定した登録番号に対応する公表情報を取得できます。
企業が受け取った請求書などに記載された登録番号をもとに、システムから公表情報を照会する用途が考えられます。
更新情報を取得する
適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIには、指定した期間に更新された情報を取得する機能もあります。
国税庁の公表情報には、登録年月日、失効年月日、取消年月日の履歴などが含まれます。
そのため、取引先のインボイス登録情報を自社システム側で管理する場合、登録情報の変更を確認する仕組みを構築できます。
法人番号とインボイスWeb-APIを組み合わせるメリット
1. 取引先マスタの入力作業を減らせる
取引先を登録するたびに、
などを担当者が個別に入力する設計では、入力作業が発生します。
法人番号を検索キーとして国税庁の法人番号システムから法人情報を取得し、適格請求書発行事業者についてはインボイス公表システムから登録情報を取得する構成にすれば、入力作業を減らせる可能性があります。
特に取引先数が多い企業では、マスタ登録そのものよりも、登録後の情報管理が業務負担になるケースがあります。
2. 企業情報の更新をシステム化できる
法人の商号や所在地などは変更されることがあります。
法人番号システムWeb-APIでは、期間を指定して法人番号指定や商号・所在地の変更などの情報を取得できます。
そのため、
「一度登録したら担当者が手作業で永続的に管理する」
という方法だけではなく、
「国税庁の公開情報を定期的に取得し、自社マスタとの差分を確認する」
という運用を設計できます。
3. インボイス登録状況の確認業務をシステムに組み込める
適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIでは、登録番号を指定した情報取得ができます。
また、期間を指定して更新情報を取得することもできます。
そのため、請求書処理や仕入先管理などの業務システムに、
「登録番号を確認する」
という処理を組み込むことができます。
ただし、APIから取得した情報だけで税務上の判断をすべて自動化できるという意味ではありません。
実際の業務システムでは、取得した情報をどの業務判断に利用するのかを明確にしたうえで設計する必要があります。
4. 「自社システム内のマスタ」と「公的情報」を分離できる
業務システムを設計するうえで重要なのが、国税庁から取得した情報と、自社で管理する業務情報を混在させないことです。
例えば取引先マスタを、
などに分けて管理します。
このとき、法人番号やインボイス登録情報などの公表情報と、自社固有の業務情報を分離しておけば、情報の出所が明確になります。
これはERPや販売管理、請求管理などのシステムを長期運用するうえでも重要な考え方です。
実際の業務システムではどのように利用できるのか
取引先登録の例
例えば、販売管理システムに新しい取引先を登録する場合を考えます。
担当者が法人名を入力します。
↓
システムが法人番号システムWeb-APIを利用して候補を検索します。
↓
担当者が対象法人を選択します。
↓
法人番号、商号、所在地などの情報を登録します。
↓
法人番号を基準に、適格請求書発行事業者の登録情報を確認します。
↓
自社の取引先マスタへ保存します。
このような構成にすることで、企業情報を担当者が一項目ずつ入力する方式から、公開情報を利用して登録する方式へ変更できます。
定期的な更新確認
登録後も、
といったケースがあります。
そこで、定期的にWeb-APIから更新情報を取得し、自社マスタとの差分を確認する仕組みを構築できます。
重要なのは、APIから取得した情報で無条件に自社データを上書きするのではなく、
「公的情報に変更があった」
↓
「自社マスタとの差分を検出」
↓
「自動更新または確認対象として通知」
という運用を業務要件に応じて選択することです。
Web-APIを利用するときに注意したいこと
アプリケーションIDが必要
法人番号システムWeb-API、適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIを利用するには、国税庁が発行するアプリケーションIDが必要です。
アプリケーションIDの発行自体に費用はかかりません。
なお、適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIについては、現在、法人番号システムWeb-APIと共通のアプリケーションIDに加えて、インボイスWeb-API利用のための申請・承認が必要と国税庁が案内しています。
また、国税庁はアプリケーションIDの発行に2週間から1か月程度かかる場合があると案内しています。
APIの情報だけで業務判断を完結させない
Web-APIは非常に便利ですが、
「APIのレスポンス=自社業務上の正解」
とは限りません。
例えば、自社の取引先マスタには、国税庁の公開情報には存在しない、
などがあります。
そのため、国税庁APIは「公的に公表されている企業情報を取得するデータソース」として位置付け、自社の業務データとは分離して管理する設計が現実的です。
API利用規約と情報取得元の表示を確認する
国税庁は、Web-APIを利用したサービスを公開する場合、国税庁のWeb-APIから取得した情報を利用している旨と、そのサービス内容が国税庁によって保証されたものではない旨を明示するよう案内しています。
外部向けサービスとして提供する場合は、実装だけでなく利用規約や表示要件も確認する必要があります。
API連携によって変わるのは「入力作業」だけではない
法人番号・インボイスWeb-APIの価値は、単純に入力フォームを便利にすることだけではありません。
本質的には、
「企業情報を人が調べて入力する」
という業務から、
「公的に公開されている情報をシステムで取得し、自社の業務データと連携する」
という業務へ変えられる点にあります。
例えば、
など、企業情報を扱うさまざまな業務システムで活用を検討できます。
「公的データを業務システムに組み込む」という考え方
企業のDXでは、新しいシステムを導入することだけが解決策ではありません。
すでに国や行政機関が公開しているデータを、自社システムのデータ基盤に組み込むことも重要です。
法人番号システムでは、法人番号を指定した情報取得だけでなく、期間を指定した更新情報の取得や法人名による検索などのWeb-APIが提供されています。
適格請求書発行事業者公表システムでも、登録番号を指定した情報取得や更新情報の取得が可能です。
こうした公的データを適切に利用すれば、企業独自にすべての情報を収集・維持する必要性を減らせる可能性があります。
まとめ
国税庁の法人番号システムWeb-APIと適格請求書発行事業者公表システムWeb-APIは、企業の業務システムから公的に公表されている法人情報・インボイス登録情報を取得するための仕組みです。
特に、
といった用途で活用を検討できます。
ただし、APIを導入すること自体が目的ではありません。
重要なのは、
「どの情報を国税庁から取得するのか」
「取得した情報を自社のどのマスタに紐付けるのか」
「変更があった場合に自動更新するのか、人が確認するのか」
「APIから取得した情報と社内情報をどう分離するのか」
まで含めて業務設計することです。
業務システムを新しく構築する場合や既存のERP・販売管理・請求管理システムを改善する場合には、こうした公的データとのAPI連携を最初から設計に組み込むことで、将来的なマスタ管理の負担を抑えられる可能性があります。
参考:国税庁の公式情報
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