「どんぶり勘定」をやめる。経営改善は、まず数字を正しく見るところから

「売上は伸びているから、たぶん大丈夫」
「忙しいから、人を増やしたほうがいい」
「このシステムを入れれば、業務が楽になるはず」
経営者との打ち合わせでは、こうした判断を耳にすることがあります。
もちろん、経営には経験や直感も必要です。
しかし、会社の業務改善を本気で進めるなら、「なんとなく」の経営からは一度離れなければなりません。
特に危険なのが、いわゆる「どんぶり勘定」です。
どんぶり勘定は「数字を知らない」ことではない
どんぶり勘定というと、
「売上や利益を把握していない会社」
を想像するかもしれません。
実際には、もっと厄介です。
売上も利益も毎月確認している。
会計ソフトも使っている。
Excelで資料も作っている。
それでも、「どの業務に、どれだけのお金と時間がかかっているのか」が分からない。
これも立派などんぶり勘定です。
例えば、
こうした状態では、経営者が「改善したい」と思っても、どこから手を付けるべきか判断できません。
業務には「見えていないコスト」がある
例えば、ある作業に社員が毎月20時間使っているとします。
給与だけを見れば、その作業のコストは見えません。
しかし、
20時間 × 人件費 × 12か月
と考えれば、年間コストになります。
さらに、その作業のためにExcelを作り、紙に印刷し、別の担当者が転記し、最後に上司が確認しているのであれば、実際のコストはさらに増えます。
つまり、
「その作業は無料ではない」
ということです。
人がやっているから無料に見えているだけで、会社は確実にコストを支払っています。
SaaSも同じです
月額5,000円のSaaSを1本導入すること自体は、大きな問題ではないかもしれません。
しかし、
5,000円 × 12か月 = 60,000円
です。
これが10本なら年間60万円。
20本なら年間120万円。
さらに、複数のSaaSを使うことで、
といった「見えない運用コスト」が発生します。
だからこそ、単純に「SaaSを減らしましょう」と言うだけでは不十分です。
会社全体で、どこにお金と時間が流れているのかを見る必要があります。
だから、コンサルティングでは「システム導入」から始めない
私たちが業務改善に入るとき、いきなり
「このシステムを導入しましょう」
とは考えません。
まず見るのは、
現在の業務そのものです。
誰が。
何を。
どのシステムで。
何回入力して。
どの帳票を作り。
誰が確認して。
どこに保存して。
最終的に何のために使っているのか。
ここまで分解します。
そのうえで、
「そもそも、この作業は必要なのか?」
「この承認は本当に必要なのか?」
「同じデータを何回入力しているのか?」
「このExcelは何のために存在しているのか?」
「このSaaSは、本当に必要なのか?」
を考えます。
「システム化」より先に「業務を捨てる」
業務改善で非常に重要なのは、今ある業務をそのままシステム化しないことです。
紙の申請をそのままWeb申請にする。
Excelをそのままシステムにする。
手作業の承認フローをそのまま電子化する。
これでは「デジタル化」はできても、「業務改善」にはならない場合があります。
まず、
やめる。
次に、
まとめる。
その後に、
標準化する。
そして最後に、
システム化する。
この順番が重要です。
経営改善は、一気にやらなくていい
すべての業務を一度に変える必要もありません。
むしろ、本番稼働している会社ほど、一気に変えるべきではありません。
例えば、
Phase 1
現状を把握する。
Phase 2
無駄な業務・重複業務を削減する。
Phase 3
業務を標準化する。
Phase 4
データとシステムを整理する。
Phase 5
自動化・システム化する。
Phase 6
効果を測定し、継続的に改善する。
数か月で終わるものもあれば、1年以上かけるべきものもあります。
大切なのは、会社の規模や業務の複雑さに合わせて、壊さずに変えていくことです。
経営者にお願いしたいこと
業務改善のコンサルティングに入る前に、経営者の方に一つだけお願いしたいことがあります。
「今までこうだったから」という理由を、一度だけ横に置いてください。
そして、
「本当に必要なのか?」
「年間でいくらかかっているのか?」
「何時間かかっているのか?」
「誰がやっているのか?」
「その人がいなくなったらどうなるのか?」
「同じ情報を何度入力しているのか?」
を一緒に見てほしいのです。
数字が見えれば、改善の優先順位が見えてきます。
優先順位が見えれば、投資判断ができます。
投資判断ができれば、経営者の経験や勘も、より強い武器になります。
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「どんぶり勘定」を否定したいわけではない
経営者の直感は、長年の経験から生まれる非常に重要なものです。
問題なのは、直感だけで決めることです。
直感で「ここが怪しい」と感じたら、次に数字で確かめる。
数字で問題を発見したら、現場を見に行く。
現場を見たら、業務を分解する。
そして、改善した結果をまた数字で確認する。
このサイクルを作ることが、業務改善の第一歩だと考えています。
経営を「勘」から「再現性のある仕組み」へ。
そのために、まず会社の中で何が起きているのかを、一緒に可視化する。
私たちは、そこから業務改善を始めます。
